Qlik、世界初となる「データリテラシー指数(Data Literacy Index)」を発表、データリテラシーが   5億ドルの企業価値増につながることが明らかに

  • Qlikが依頼しウォートン・スクールおよびIHS Markitが調査を実施
  • データリテラシー・スコアの高い組織は企業価値が最大5パーセント高いことが判明
  • データリテラシーの高い従業員の重要性を企業の意思決定者のほとんどが認識しながらも、部下に対してデータスキルを高めるよう奨励している上長は2割弱
  • 日本企業のデータリテラシー指数は54.9スコアで、グローバルで最も低い結果に

November 04, 2018

ビジュアル分析のリーダーであるQlik Technologies Inc. (本社:米国ペンシルベニア、CEO:マイク・カポネ、以下Qlik®)は、Qlikの新しいプロジェクト「データリテラシー・プロジェクト」の一環としてQlikが主導し実施した学術研究「データリテラシー指数(Data Literacy Index)」の結果を発表しました。その結果、データリテラシーの高い大企業は企業価値(株式時価総額)が3億2,000万ドルから5億3,400万ドル高いことが明らかになりました。

企業のデータリテラシーとは、企業ではたらく様々なレベルの人が意思決定のためにデータを読み取り、分析し、活用する能力と、そのデータ知識を組織全体に伝え生かす能力の両方を意味します。つまり、組織が「第4の産業革命」の中で競争するためには、データリテラシーの高い従業員をそろえるだけでなく、これらのスキルが企業全体の意思決定に生かされるようにする必要があります。

企業価値とデータリテラシーの間には明確な相関関係がありますが、企業がデータの重要性や意義について認識していることと、従業員のデータリテラシー強化のために積極的に施策を行うことの間にはギャップがあります。企業の意思決定者の92パーセントが「従業員のデータリテラシーは重要だ」と考えている一方で、「自分の会社は従業員がデータリテラシーを高めるよう明らかに奨励している」と答えた人はわずか17パーセントでした。

データリテラシーは業績を底上げする

データリテラシー指数は、企業が意思決定のために必要なデータとデータ活用能力をどの程度備えているかを数値で評価する厳密なモデルです。同指数と様々な業績指標との関係を調べてみると、データリテラシー指数が上位3分の1に入っている組織は、企業価値が3パーセントから5パーセント高くなっていました。さらに、高いデータリテラシーは粗利益、資産収益率、配当、利益率など、他の業績指標に対しても正(+)の相関を持つことが明らかになりました。

ペンシルベニア大学ウォートン・スクール教授のロリン・ヒット(Lorin Hitt)氏は次のように述べています。

「データリテラシーが企業単位で測定されたのは今回が世界初であり、従業員のデータスキルだけでなく企業内での意思決定におけるデータ活用までを要素として含んでいます。われわれの研究は重要な事実を示しています。つまり、企業におけるデータリテラシーについての広範なコンセプトは、彼らのビジネス手法を相互的に強化するとともに、その結果が好調な業績へとつながることを意味するからです」

データリテラシー指数を算出するため、10地域のグローバル企業の意思決定者604人に対して、自社のデータ活用、データリテラシーへのアプローチについてアンケート調査を行いました。調査研究の内容はウォートン・スクールの研究者が定め、PSB Researchが調査を実施しました。以下のとおり、他にも興味深い結果が明らかになりました。

企業はデータ技能に高い報酬を払っていない

企業の意思決定者の大多数は、従業員のデータリテラシーは欠かせないと考えていますが、データの読み取り、処理、分析、通信に十分に自信があると答える人は、世界の労働力のわずか24パーセントにすぎません。*

このスキルギャップをさらに悪化させているのは、「データリテラシーの高い従業員を雇う計画がある」と答える企業が全体の約3分の2(63パーセント)に及ぶにもかかわらず、データリテラシー向上における責任や負担が従業員個人にあることです。ビジネスリーダーたちは従業員のデータリテラシー向上にリソースを投入したくないと考えており、現在、データリテラシー研修を実施している企業は全体の34パーセント、データリテラシーの高い従業員に高い給与を払っている企業は36パーセントにとどまっています。

データスキルがデータ主導の意思決定につながっていない

ほとんどのビジネスリーダーが、データは自らの業界にとって重要(93パーセント)、自社の現在の意思決定にとって重要(98パーセント)だと認めています。しかし衝撃的な事実として、過去5年間にデータ活用の方法に大きな変革を行った企業はわずか8パーセントにとどまることが挙げられます。

実際、「データ主導の意思決定」における回答スコアは、今回調査したデータリテラシーの3要素(後述)のうち最も低いスコアになっています。すべての事業部門にデータリテラシーのある従業員を雇っている企業でさえ、データを使いやすい情報へと効率的に加工することはあまりできていません。

データ成熟度の高いヨーロッパ企業

ヨーロッパは企業のデータリテラシーの成熟度がどの地域よりも高く、特にイギリス、ドイツ、フランスで企業のデータリテラシー・スコアが高くなっています。これよりやや低いのが米国とアジア太平洋地域で、両者は統計的にほとんど違いがなく、ただしシンガポールはデータリテラシーが世界一高い国でした。

データの価値が重要だと感じている、と答えたヨーロッパ企業の意思決定者が72パーセントである一方、アジア太平洋地域では60パーセント、米国ではわずか52パーセントと、ヨーロッパ企業の意思決定者がデータの価値をより深く認識していることを表しています。

国ごとの差が大きいアジア太平洋

アジア太平洋地域はこの5年間でデータの重要性(の認識)がもっとも大きく伸びている地域であり、米国や欧州・中東・アフリカよりも速いスピードで成長しています。それにもかかわらず、データ活用の方法について変革を行った企業はわずか10パーセント、データリテラシーの高い人に高い給与を払おうとする企業はわずか20パーセントと、労働力の現状と企業の扱いとの間に大きなギャップがあることが分かりました。

その中でも、シンガポールは世界一データリテラシーの高い国で、企業データリテラシー(CDL)スコアは84.1と、イギリスの81.3、米国の72.6を上回っています。アジア太平洋地域のその他の国はインドが76.2、オーストラリアが72.4、日本が54.9のスコアでした。アジア太平洋地域の産業別では、CDLスコアがもっとも高かったのは銀行および金融業でした。

クリックテック・ジャパン株式会社カントリーマネージャーの北村 守は次のように述べています。

「この指数で見られるように、日本企業の従業員のデータスキルが世界の主要な経済圏と同様に広がりつつある一方、日本は組織全体でデータを活用するスキルが比較的劣っています。多くの日本企業が根回しなどの合意形成や稟議制度に代表されるボトムアップのアプローチによって意思決定を行ってきましたが、他国は一歩先にデータスキルの高い従業員を活用した戦略的意思決定を行っているようです。

Qlikでは、データリテラシーの必要性に対する認識を高め、グローバル企業および日本企業の成長のきっかけとなるよう努めています。データリテラシー指数の調査結果は、各業界のビジネスリーダーが、データ活用における変革と、データリテラシーが組織にもたらす重要な価値に気づき、危機感を持つことを重要視しています。従業員のデータリテラシーを高めることが、企業のビジネス価値の実現や、グローバル規模で急速に変化する競争の激しいビジネス環境での成長の鍵となるのです」

データリテラシーの高い産業

企業のデータリテラシーを産業別に見ると、地域別よりもずっと大きな差があります。データリテラシーが低かったのは医療、小売、不動産などの産業でした(データリテラシー・スコアは順に67.1、69.2、70.7)。一方、行政、技術サービス、金融が上位でした(順に81.1、80.2、77.4)。

以上の結果について、Qlikのデータリテラシー担当グローバルヘッドであるジョーダン・モロー(Jordan Morrow)は次のように述べています。

「自動化、ロボット、人工知能の存在感が増していく中、『第4の産業革命』の姿が徐々に見えてきました。データは共通言語となり、データを習得した企業が恩恵を受けることになります。しかしながら、企業は事業におけるデータリテラシーの意義、重要性について賛同はしているものの、データリテラシーの高い従業員のために投資し、データ主導の意思決定への変革を起こす取り組みについてはまだ途上段階にあります。あと5年もすれば、データ革命の勝者が明白になるでしょう。データリテラシー指数は注目すべき結果をまとめただけのレポートではありません。ビジネスリーダーにとって、市場シェアを守る戦いへの開始の合図となるでしょう」

企業データリテラシー指数(Corporate Data Literacy Index)は、データリテラシー・プロジェクト(Data Literacy Project)を代表する取り組みとしてQlikによって作成されました。このプロジェクトは、自信を持って成功へと導くデータリテラシーの高い社会を作り上げるために必要な討論の機会創出、ツールの開発を行うための新たなグローバル・コミュニティです。設立パートナーはAccenture、Cognizant、Qlik、Pluralsight、Experian、Chartered Institute of Marketing、Data to the Peopleです。

企業がいかにして社内にデータリテラシー革命を起こせるか、詳しくはデータリテラシー・プロジェクト(TheDataLiteracyProject.org)にご参加ください。

「データリテラシー指数(Data Literacy Index)」は、Qlikの新しいプロジェクト「データリテラシー・プロジェクト」の一環としてQlikが主導し実施した学術研究で、シンガポール時間の10月10日にグローバルで発表されています。

【調査方法】

  • 企業の意思決定者へのアンケート調査
    調査はPSB Researchによって2018年6月27日から7月18日までの期間に実施されました。対象となる企業の意思決定者は従業員数500人以上のグローバル上場企業から選ばれ、銀行・金融、製造、小売、輸送、医療、エネルギー、建設、ユーティリティ、通信など様々な業種が含まれています。実施されたインタビューの総数は604、米国とヨーロッパが200ずつ、アジアが204でした。
  • 企業データリテラシー・スコア
    企業データリテラシーに関するこの指標はIHS Markitとウォートン・スクールの教授によって開発されたものです。この指数は(1)従業員のデータスキル(人的資本)、(2)データ主導の意思決定、(3)データスキルの拡散度(データ活用が組織全体に広まっているかどうか)の3つの要素からなる評価を基にしています。企業データリテラシーのこれら3つの要素を測定できるようにアンケートを作成しました。アンケートの質問ごとに各選択肢を数値化するスケールを定め、Zスコアを計算することですべての指標について回答を標準化し、総合しました。総合的な企業データリテラシー(CDL)スコアは3つの要素のスコアの合計です。世界全体を対象とした場合、CDLスコアは最低が0、最高が100の範囲に分布します。
  • 企業業績の指標
    企業の価値[とデータリテラシーとの関係]は、企業の他の条件をすべて固定した上で、企業データリテラシー・スコアにおける標準偏差ひとつ分の差に対応する[2社の]企業価値のパーセンテージ差という形で表現することができます。業績の分析は調査対象の企業について公表された財務データを使って行いました。結果は通常のレベルで統計的に有意であり、他の業績変数を使った回帰分析による推定とも一致しています。

* 出典:How to Drive Data Literacy within the Enterprise

クリックテック・ジャパン株式会社およびQlik Technologies Inc.について

クリックテック・ジャパン株式会社は、米国Qlik Technologies Inc.の日本法人です。Qlik®は、高度なデータリテラシーを備えた社会の実現を通して誰もが困難な課題を解決するというミッションの元に、スキルレベル、データの保存場所に関係なくあらゆる人々が新しい洞察を得ることができる、独自のエンドツーエンドのデータ管理および分析プラットフォームを提供しています。Qlikは、企業における顧客行動のさらなる理解、新たなビジネスプロセスの考察、新たな収益源の発掘、リスクと利益の調和の実現を支援します。Qlikは、米国ペンシルベニア州のラドナーに本社を構え、世界100ヶ国以上でビジネスを展開し、48,000社以上のお客様にご利用いただいています。

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